先月8月5日に行われた仲邑菫(なかむら すみれ)初段の公式戦2戦目の対局相手である金四段が、仲邑菫ちゃんとの対局を振り返る記事(新聞記事?)を発見しましたので、公式戦の解説にもなると思いまして、抜粋してお届けします。
なんとも興味深いと言いますか、よくわからないなりにも楽しく拝見しました。
対局の序盤について
金賢貞(キムヒョンジョン)四段の言葉と記事の内容を抜粋します。
金四段は自分の石が攻められるのを嫌うようで、先に黒27、黒29と右辺の白石を攻め立てたようです。
しかし、仲邑菫初段は白30と着実に左上を固めたのだそうです。
ところが、その後、仲邑菫初段が白32、56と「疑問手」と言われるような打ち方をしたため、金四段は「こちらが打ちやすくなった」と感じたとのこと。
なので白石の仲邑菫初段は右辺の白石がいかにも危うくなった感じになった。
ところが、仲邑菫初段は白64、72とマイペースに打ち続けたため、逆に金四段が「こちらが激しく攻めているのに、向こうは堂々と強気でくる。自分の読みが間違っているのかなと不安になりました」と語っています。
それでも金四段は自分の優勢を信じてコウ争いの左上に黒81と打ったのだそうです。
仲邑菫ちゃんの鬼手
金四段の黒81に、菫ちゃんはこれを受けるか、右辺の黒67を取るかのいずれか!
と思われていたにもかかわらず、次の白82が見事な鬼手だったとのこと。
この白82について金四段は次のように語っています。
「菫ちゃんは右上の黒石をごっそり狙ってきた。多分、必死で勝負手を探していたのでしょう。いきなり心臓にくるような一手。打たれた瞬間『ああ、これはやられた』と直感しました」
私のようなど素人はそう言われても「え? そうなの?」という感じですが、かなりの手だったのでしょうね。
菫ちゃんも凄いですが、すぐさま直観する金四段もやはり凄いですね。
そして金四段は「主戦場じゃないところに緩い手を打った私のミス。まさに一瞬の隙を突かれました」と悔やんだのだとか。
棋譜は上の画像に記載がありますが、見えにくいですから、前回もこのブログで公開した棋譜も以下に再度再現しておきますね。
金四段は、三年連続で本戦に出場した実力者だそうですが、仲邑菫ちゃんが成長ぶりを見せつけた対局だったようです。金四段によれば強い棋士の碁は緩やかでなく、根こそぎもっていくものだとか。
天才小学生の仲邑菫(なかむら すみれ)ちゃんは早くもそんな雰囲気を身につけてきているのですね。
私のようなど素人でも、このように解説をして頂けば、たしかに右上の部分は白が圧倒的有利で黒は完全に死んでいることがわかります。
なるほど。このような対局だったのですね。
しかし、素人目にはまだまだ左の方で十分に挽回できそうに思ってしまいますが、そういうわけにもいかないのでしょう。左側は菫ちゃんの主戦場ですからね。
金四段も流石
金四段は今回の対局をこう語っています。
「菫ちゃんのおかげで囲碁が注目され、とても感謝している。強くなって世界に出てもらいたい」
そしてさらに、
「刺激的な対局で、あらためて勝負の楽しさに目覚めた」
とのこと。
金四段は次戦に向けて既に研究を始めたそうです。
天才少女の登場でベテランの心にも火をつけて、そして囲碁が注目されることにも貢献して、仲邑菫ちゃんも凄いですが、金四段も流石ですね。
プロの世界は私には遥か彼方ですが、こういう話を聞くと刺激になります。
今後は仲邑菫ちゃんだけでなく、金賢貞(キムヒョンジョン)四段の活躍も応援したいと思う記事でした。